世界の片隅で叫ぶブタ


最近、策略とか作戦とかターゲットとか、そういうものにとらわれない絵を描きたいと思うようになってきました。過去の自分の作品に策略めいたものが垣間見えると、なにか小賢しく感じてしまいます。なるべくまっすぐに、自分が本当にいいと思えるものだけを作りなさい、若かりし日の自分にそんなことを言いたくなります。

その一方で、これは昔からですが、地位と名声と莫大な富が欲しいとも思っています。物心ついてからずっと欲しているにも関わらず、未だにどれも手に入っていません。なんとか手に入れたくてもがいていると、作品が策略めいてきます。それはいけない。作品に関してはまっすぐに、そしてその結果として、地位と名声と莫大な富を手中に!

我ながらずいぶん虫のいい話です。自分のやりたいことだけやって社会的に成功したいだなんて。というかそれ、本当に自分が欲しかったものなのでしょうか。それもあやふやになってきました。

思い出すのは、願いを叶えてくれるという神の龍を前にして「ギャルのパンティーおくれ!」と叫んだブタのことです。すけべで怠け者で根性無しのどうしようもない奴でしたが、自分の欲しいものは誰よりも分かっていた。思えば長い物語の中で、自分が欲しいものを手に入れられたのは、あのブタだけかもしれません。自分も彼に倣うべき、かどうか、考えているところです。

ベイビー・ドライバー


深夜3時過ぎ、寝室で眠る同居人に遠慮しながら、噛むとものすごく大きな音がする南部せんべいを食べ始めたところだ。我ながらうるせえ。バリボリ音を立てながら、先週見た映画「ベイビー・ドライバー」のことを書く。

もともとはロッキンオンのサイトで、ジョンスペやベックがサントラに使われていると紹介されていて興味を持った。音楽や映像がお洒落な、例えば「パルプ・フィクション」みたいな映画かなと思っていたのだが、お洒落なだけじゃなく、もっとちゃんと中身のある映画だった。もちろんパルプ・フィクションはあえて中身のない感じにしたのだろうけど。

音楽の使い方や映像のセンスが妙に気持ちよくって、なんでだろうと思っていたら、監督が同い年とのことで、ちょっと納得する。王道過ぎずB級過ぎない選曲とか、音楽と映像をリンクさせつつ適度に荒い編集とか、気持ちいいと思うツボが世代的に近いのかもしれない。そして、公式が出しているにも関わらず、下の動画のサムネイルが異様にダサいのは何故だ。


自動車にはまったく興味がなく、車種も「国産」「外車」ぐらいしか見分けがつかないのだが、自動車の映画はわりと好きだったりする。この「ベイビー・ドライバー」しかり、「トランスポーター」「ミニミニ大作戦」「マッドマックス 怒りのデスロード」などなど。最後のは違うか。