そこが好きなんだ


図書館からの帰り道、大通り沿いにある「後花園天皇火葬塚」の前に、男が三人いた。ほとんどの人が目もくれず通り過ぎていくその場所で、それは珍しいことだった。前の道路には大型の観光バスが停まっており、どうやら彼らは運転手のようだ。客が戻ってくるまでの間、することがないのだろう、火葬塚の説明などを読んでいる。三人のうち若い一人だけが、やけに熱心だった。すれ違いざま、目が合った。彼は少し上気した顔で微笑んで、誰に言うでもなくこう言った。

なんか、怖いな。

そうだろ。そこが好きなんだ。