あいちトリエンナーレ2016へ


あいちトリエンナーレへ行ってきた。ほぼ1日の滞在だったので、すべての会場を見て回るわけにはいかなかったが、それでも相当な数の作品を見ることができた。こうした町ぐるみのアートフェスでは、どうしてもインスタレーションや映像作品に目が行くことが多かったのだが、今回は平面作品で良いものがいくつもあった。

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今村文作品。
蜜蝋画という技法らしく、独特の質感が気持ちいい。つい触りたくなるが、触ったらぽろぽろと剥がれてしまいそうなところが、遺跡のようだ。

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佐藤翠作品。
良さの伝わらない写真で恐縮だが、こってりとした荒いタッチで女性のクローゼットの中にあるようなものを描いている。そういえば、ドンキーコングのレディの落とし物もこんなだった。万国共通の淑女のイメージを絵画にしているのだろうか。

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田島秀彦作品。
薄いパステルカラーのタイルなどを、窓にカラーセロハンを貼ったり薄いカーテンで区切ったりした展示空間に配置。ものすごくかわいらしい。

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もちろん、平面以外にも良い作品はたくさんあった。上の写真は端聡作品。古いビルの廃墟のような空間に、魔女の鍋のようなものがグツグツと煮立っているように見える。「水を一瞬で水蒸気にする光源」を使っているらしい。

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あともうひとつ、昨年のパラソフィアで見て以来ハマっている作家、ミヤギフトシさんの作品がやっぱり良かった。北海道、長崎、沖縄、ルソン島、マカオを巡る5つの話が、5枚のディスプレイで同時に流される。それぞれが緩やかに関連しながら、あくまで淡々としたトーンで話は進む。見ていると、ふっと話を見失ってしまいそうになる瞬間があって、でもそれがむしろ気持ち良かったりもする。
この気持ちよさの正体は何だろう。全貌を把握したいと思わせつつ、はぐらかされるのを楽しむような。