山が見える


台所の流し台の前に立ち、窓の外を見やると、遠くのマンションの間から少しだけ山が見える。何という山かは知らないが、いかにも山らしい形をした山だ。立ち位置を少しずらすともう見えない。別に夕焼け空に感動したりはしないし、山に対する信仰心もない。ただ毎日、夕方の洗い物が終わってふと顔を上げると窓の外に少しだけ山が見えて、「あ、山だ」と思う。

170914