四十にして惑わず、動かず


まだ衰えを気にするほど歳をとったわけではないし、変におっさんぶって「いやあ、最近体力がね・・・」などと言うのは好きではない。それでも、もともとが体力も気力も無い上に、自制心もあまりないので、少しずつ「弱く」なってきているのは自覚している。いや、自覚しているつもりだったのだが。

最近ずっと部屋から出ず、椅子に座りっぱなしの生活なので、腰を痛めないように腹筋運動をしよう、と考えた。これまでにも、夏になると思い出したように腕立て伏せや腹筋を始め、秋には辞めるということをくり返していたのだが、それは「カッコつけ」の延長であって動機が不純である。今回は違う。仕事や生活に直結した、もっと切実な運動である。なので今回は、腹筋だけでなく背筋運動もやろう、と考えた。何年ぶりだろうか。うつ伏せになって、ベットの下に足をかけ、上体を反らす。まずは軽く10回、やってみようと身を伏せた。

驚いた。ピクリとも動かない。まったく体が反らないのだ。体どころか、あごすら上げられない。「ん」と変な声は出たが、1回も動けず、静止したまま床を見つめている。自分のイメージとしては、鮮魚がまな板の上でビチビチと跳ねる感じでやりたかったのだが、この魚、完全に死んでいる。体育教師なら言うだろう。「はやく始めなさい」。いや、始めてるんです、本人としては。

それでも、なんとか10回やってみたら、というか10回やってる気持ちで静止したら、相当に疲れた。背中がしっとりと汗ばんでいる。よく頑張った。