■ SEKAI NO OWARI の音楽を初めて聴いた時、その身も蓋もないほどにまっすぐな歌詞に驚き、ちょっと怖くも感じていたのだが、あっという間に人気者になった。テレビにもどんどん出演してちびっ子にも大人気、今年の紅白にも出るという。親戚の子ども達はみんな大好きだし、僕も好きだ。
身も蓋もないほどまっすぐな歌詞、ということで思い出すのはブランキー・ジェット・シティで、彼らのことも、最初は少し怖かった。二十数年前、初めてブランキーの曲を聴いた時に思わず笑ってしまったのは、決して馬鹿にしていたのではなくて、自分とは全く違うセンスに驚き、怖がっていたのだと思う。畏れをごまかすために笑っていたのだ。
■ ブランキーとSEKAI NO OWARIでは使う言葉が全く違う。端的に言って、SEKAI NO OWARIの使う言葉は平易で、語彙が極端に少ない。それは歌詞の背景となるものが違うからだろう。ブランキーにとっての英米文学や70年代の外国映画に当たるのが、SEKAI NO OWARIの場合、日本のアニメやテレビゲームなのではないか。馴染みがある分、子どもたちには届きやすかったのかもしれない。そして背景は違えど、両者の言っていることは近いような気がする。
■ 「新しい国ができた 人口わずか15人」というのはブランキーの曲の一節だが、SEKAI NO OWARIの人達もまた、新しい国をつくろうとしているようだ。一軒家を買ってメンバーで共同生活をしたり、何万人ものお客さんが仮装するライブをやったりと、こちらの想像を上回る活動を続けている。やっぱりまだ少し怖い。
彼らの新曲「ドラゴンナイト」を何度もリピートして聴いているが、相変わらず歌詞がすごい。1番と2番でほとんど同じ内容だったり、「今宵」という言葉が何度も出てきたりする。無理に言葉をいじらず、言いたいことだけをまっすぐに言う。そんな彼らの姿は、少しでも人と違うことを言いたい、面白い人と思われたい、と言葉をこねくり回している自分のような人間にとって、たいそう眩しく輝いて見える。