世界の片隅で叫ぶブタ


最近、策略とか作戦とかターゲットとか、そういうものにとらわれない絵を描きたいと思うようになってきました。過去の自分の作品に策略めいたものが垣間見えると、なにか小賢しく感じてしまいます。なるべくまっすぐに、自分が本当にいいと思えるものだけを作りなさい、若かりし日の自分にそんなことを言いたくなります。

その一方で、これは昔からですが、地位と名声と莫大な富が欲しいとも思っています。物心ついてからずっと欲しているにも関わらず、未だにどれも手に入っていません。なんとか手に入れたくてもがいていると、作品が策略めいてきます。それはいけない。作品に関してはまっすぐに、そしてその結果として、地位と名声と莫大な富を手中に!

我ながらずいぶん虫のいい話です。自分のやりたいことだけやって社会的に成功したいだなんて。というかそれ、本当に自分が欲しかったものなのでしょうか。それもあやふやになってきました。

思い出すのは、願いを叶えてくれるという神の龍を前にして「ギャルのパンティーおくれ!」と叫んだブタのことです。すけべで怠け者で根性無しのどうしようもない奴でしたが、自分の欲しいものは誰よりも分かっていた。思えば長い物語の中で、自分が欲しいものを手に入れられたのは、あのブタだけかもしれません。自分も彼に倣うべき、かどうか、考えているところです。