大事なことだけギュッと


日曜、恵文社一乗寺店に「大竹昭子写真展 須賀敦子のいた場所」を見に行く。須賀敦子さんゆかりの地の写真と、エッセイからの抜粋が並べて展示されており、読み始めるとすぐに引き込まれてしまった。須賀さんのエッセイについては何年か前に書いたことがあるが、やっぱり憧れてしまう文体だ。こんな文章が書きたい、というより、こんな文章が書けるような人生を歩みたかった。そんな思いで歯噛みする私を横目に、同居人は写真作品を購入していた。思い切りがいい。

須賀敦子全集の第7巻には、「どんぐりのたわごと」という、須賀さんがローマ留学時代に自費出版で作っていたミニコミ誌が全号収録されている。全集では活字で掲載されているが、原本は手書きだったらしい。石版印刷で200部だけ作って、ローマから日本の友人に送っていたという。それはすごいな。おそらく、自分にとって大事なことだけをギュッと凝縮したような、そんな本なのだろう。ぜひ見てみたい。
そしてできれば、自分もそんな本を作りたい。人生の真似はできずとも、そのこころざしの部分を、少しだけでも。