能を積極的に見る


台風が近づく中、朝からロームシアターに出向き能を観劇する。「翁」と「葵上」。

「翁」は、具体的なストーリーがなく、演者が舞台上で面を付けたりする、不思議な構成。儀式的な、神に捧げる原初の能という感じだった。開演前、舞台袖から「カチカチカチ」と音がしていたのだが、後で解説を読むと、「翁」をやる時は、始まる前の楽屋から儀式を行うのだという。聞こえていた音は、石で火花を散らして身を清める時の音だったらしい。

「葵上」は、源氏物語なので話が追いやすい。タイトルは「葵上」だが、六条御息所が主役で、葵の上は出てこない。世界中の映画や演劇でちょいちょい見かけるこの構成、能でもあるんですね。

演者や囃子方の動きや所作など、なぜそういう形になったのかを想像しながら見るのが面白い。決まった型があるように見えるものも、これまで徐々に変化してきたのだろうし、これからも変わっていくのだろう。

そういう意味でも、7月に見た、能をもとにした演劇「NŌ THEATER」はたいへんに面白かった。能というものの構成・形式は、むしろ現代劇にこそ向いているのではないかと思わせるほど、違和感がなく、そのうえおしゃれな舞台だった。

何年か前から、もっと積極的に能を見よう、と思っているのだが、今年こそ見る。もう8月だけど、今年こそ。

深夜、台風が吹き荒れている。